令和3年度(2021年度)入学式を挙行しました

春爛漫の快晴の下、令和3年度の入学式を行いました。

記念体育館の式場には、新入生と教職員が参列し、保護者の方々には教室を控室として、会場の様子を配信しました。

密を避けるためですが、御家族の皆様の気持ちを考えると残念で、申し訳なく思います。

その後、校長から保護者の皆様に向けての連絡を体育館から各控室に配信いたしました。

以下、校長式辞です。

 春は確かに巡ってきて、コロナウィルスに疲れた私たちに命の息吹を感じさせてくれています。桜は満開を過ぎ、柔らかな緑が萌えるこの春の日に、令和3年度名古屋経済大学市邨中学校・高等学校の入学式を挙行できますことを心より嬉しく思います。

 本日ここに、中学校73名、高等学校445名の入学を許可いたします。これから、この市邨で、3年間あるいは6年間にわたり、互いに敬い、励まし合って、共に夢を追いかける仲間になって欲しいと思います。

 新型コロナウィルス感染症が今だ収まらず、世界は第4波の襲来を警戒しています。密集することを避けるために、体育館での新入生だけの式典にせざるを得ませんでした。家族の皆様にとって、お子様の入学式への期待感を思いますと痛恨の極みです。各待機室から式典の様子をご覧いただけると幸いです。

 あらためて、新入生の皆さん入学おめでとうございます。この日を心待ちにしておられたご家族の皆様にお祝いと感謝を申し上げます。

 私は学校案内のパンフレットで「アフター・コロナの世界を生きるのは君だ」と呼びかけました。未だに終息の気配を見せない新型コロナウィルス感染症はこの三月末で一憶三千万人の感染者を数えています。私たちはこのコロナ禍が過ぎ去った後の未来を想像しようとしますが、百年に一度という規模のこの感染症が、社会や経済にどのような傷跡を残すことになるのか、ましてや10年後の未来がどうなるのか、予測できません。コロナ禍がなくても、ネット社会の進展やAI;人工知能の発展は新たな職業を生み、一方では今ある職業がなくなり、雇用形態や働き方が大きく変わり、今とは違う人生設計が必要になるだろうといわれています。

 あなたたち、未来を生きる若者たちには、そのような時代の大きな変化を乗り越えてたくましく生きる力が求められます。未来を生きるためのツールとして、ICT情報通信技術を使いこなす能力を付けるために、本校では8年前に全館無線LAN を設置し、4年前から一人一台のタブレット端末iPadを配布しました。そのおかげで、昨年の臨時休校中にもオンラインの授業を行い課題を配信することで、学びを止めることはなく、夏休みは短縮せず、2学期には、延期した体育祭も含めて、全ての学校行事を実施することができました。

 ”Teaching からLearningへ”というスローガンは、コロナ対策のためではなく、「生徒を主体とする学び」への転換を進めようという主張です。授業が単なる知識の伝達の場でなく、生徒が自分の頭で考え、自分で気づき理解するという場面を作りたいと考えています。授業では、生徒と生徒が話し合い、先生と生徒が話し合い、自分の考えを全体に伝えるためにどのように表現すればよいかを考える。それが、深い学びに繋がるというのが、新しい学習指導要領で求められる「主体的・対話的で深い学び」です。そのような授業では、正解を求めるのでなく、どのように考えるかに重点を置き、友達の考え方を知り、自分の考えをまとめることを狙いとしています。

 一人一台のiPadをノートや鉛筆のように文房具として扱い、ネット上の資料を調べたり、自分の考えを深めて、人と交換したり、クラスにプレゼンして考えを共有するといった使い方をしています。このような、新しい授業を「市邨メソッド」と呼んで、各教科の先生方が協力して作り出そうとしています。まさに本校は先進的な教育改革の途上にあります。タブレット端末を学びのツールとして当たり前に使って、論理的に考える力、与えられた文章を読み解く力、考えたことを表現する力、そして、基礎となる知識・理解を身に付けて、新しい学力をつけたいと考えています。

 新入生の皆さんにとって、これまで、学習=勉強とは、学校であれ塾であれ、先生がいて、先生の言うこと、あるいは教科書に書いてあることを出来るだけたくさん覚えることだったのではないでしょうか。なぜそうなるのかと考えるより、そうなっていることを覚えることが勉強だと思っていませんか。「正しい」と先生が言うことを、つまり正解を覚えることが勉強であると思っていませんか。覚えた知識の量が学力であると。試験とは、その覚えた正解をはき出して学力を測ることで、その試験対策が勉強だというイメージがありませんか。そういう学力をつけて、社会に出たとき、果たして通用するでしょうか。

 社会はどんどん変化していきます。求められる知識や技術も変化していきます。最近では半導体を作っていた会社が明日からマスクを作るということもありました。社員に求められる能力は変化します。その変化にこたえられる能力を持たなければ生きていけません。記憶した知識だけでは社会に通用しないのです。正解を覚える記憶中心の勉強では、想像力=創造力は育ちません。

 新しい課題を解決する力となるのは、考える力です。新しい発想力です。それはイマジネーションであり、クリエイション、どちらも想像力=創造力です。

 どうすれば、考える力を付けることができるのでしょう。学びのきっかけは様々な経験や体験です。社会や自然の様々な現象に興味を持ち、関心を寄せることから、知りたい、わかりたいという学びの原動力が湧いてきます。スポーツするときの、うまくなりたい、できるようになりたい、という気持ちも同じです。先ず知ること、知識をつけることが学力の基礎になります。しかし、学力は単なる知識の集積ではありません。学ぼうとする意欲、自分で考えようとする力、学ぶ方法、そしてひらめき、その全てが合わさって、まだ見ぬ課題を見つけ、解決する力になる、それが学力です。 

 私たちは、将来にわたって、社会の変化に応じて、学び続けることが必要です。変化の激しい未来社会では、自ら学ばなくては生きていけないということです。本学園の創設者である市邨芳樹先生はこのことを「終身教育」と呼びました。終身、つまり生きている限り勉強せよ、と言ったのです。百年も前にです。本校の建学の精神の一つの柱となっています。

 学び続けなければ、生きていけない、あるいは、生きるために学ぶという、学びの意味がはっきりすれば、学校での学びはどうあるべきかが分かります。覚えるのではなく、何故、どうしてと考える、やがて課題解決の方法が見えてくる、そこで、自分なりに試してみる、その一連の活動が市邨での学びです。

 今年で115年目を迎える市邨は、これからの大きく変化する世界にあっても、自信をもって力強く生きていく力を持った生徒を育てたいと考えています。

 創立者である市邨芳樹先生は、次のように述べています。

 「人の尊きは実に其の「人」たるに在り。富貴や栄爵や知識や才覚や其有無は必ずしも直ちに人たるの価値を増減するものにあらず。自ら人たるの尊きを意識して始めて他人の人格を尊重するに至る」と。「人が尊いのは、実にその「人」であることにある。財力や名声や地位、知識や才能、それらの多少や有無が必ずしもそのまま人である価値を増減させるものではない。人である自分自身の尊さを意識して初めて他人の人格を尊重することができる」、と言っています。人は人であることで、それだけで尊いのだという、先生の教えは、本校の建学の精神である、「一に人物、二に伎倆」の大本にある理念です。学力よりも、能力よりもそのもとにある人としての気高さを高めようとしたのです。現代のSDGs(持続可能な開発目標)の理念に通じるものがあります。

 「一人ひとりの伎倆を高め、自ら考え、自ら行動する力を養う」というのが今年度の教育目標です。学力や才能、体力や運動能力、技術をも含めた一人ひとりの伎倆を高めよう、その先に人物が出来上がると考えています。学習活動だけでなく、部活動や学校行事でも、自ら考え、自ら行動すること、そのような場面がいたるところにあります。そのような体験の全てが本校の学びです。

 新入生の皆さん、学校は学ぶところです。授業で学び、部活動で学び、学校行事で学びます。つらいことも多いし、悔しいこともある、仲間のことで悩み、自分の人生のことで悩み、くじけそうになる。でも、友と一緒に学ぶことで、やがて楽しくなるところです。本校での新しい学びの中で、新しい自分を見つけ、人として成長してください。君達が、自分の力を信じ、自らの未来を切り拓いていくことを祈念して、式辞といたします。

 

令和三年四月七日                               学校長 澁谷有人

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校長 澁谷有人
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