令和3年度(2021年度)始業式を行いました

4月6日、春の暖かさを感じるグランドで、コロナを意識しつつ、始業式を行いました。

校長式辞です。

おはようございます。

 桜の花が満開を過ぎ、草木の柔らかな緑が目に優しい、春の訪れを感じる4月になりました。例年よりも一月は早いのではないかと思わせるような春の訪れです。令和3年度(2021年度)を皆さんと共に迎えることが出来て、本当に嬉しく思います。

 まず、始業式の始めに、この春休み中の皆さんの活躍をお知らせしておこうと思います。山梨県で行われた全国選抜大会で女子ハンドボール部が全国優勝しました。一試合ごとに接戦をものにしてついに頂上に立ちました。

 体操競技では、北海道で行われた全国選抜大会で笠原さんが個人総合第2位、槇林さんが7位、稲垣さんが44位でした。種目別でも入賞しました。福岡で行われたテニスの全国選抜大会でテニス部がベスト4,福島県で行われた全国選抜大会でバドミントン部は、ベスト8でした。そして個人参加ですが、金沢市で行われたウェイトリフティングの全国選抜大会で扇本君が第5位に入賞しました。コロナ禍で全国大会が中止になって辛い思いをした一年でしたが、毎日毎日の努力を怠らず、年度の最後になって素晴らしい結果を出してくれました。野球部も春の県大会への出場を決めました。

 その頑張りにどれだけ励まされたかわかりません。頑張った皆さんに感謝したいと思います。全校で、その努力をたたえたいと思います。

 

 さて、いよいよ新しい学年が始まります。やはり今年も、当たり前の日常はありません。世界中で感染は収まっていません。それどころか、感染者数は一億三千万人となり、フランスでは全土でロックダウン、学校は閉鎖の措置がとられています。日本でも、ウイルスの変異株が頭をもたげており、第4波かと言われています。春休みの若者たちの動きがどのように影響するか気になります。

 人類は、その誕生の始めから感染症と戦ってきました。ウィルスは地球に生命が誕生して以来存在するので戦いながら共存してきたともいえますが、ここでウィルスに負けるわけにはいかない。

 学校がコロナ対策についてどのように考え、どのような方針でいるかをこれまでも皆さんに伝えてきました。「コロナを怖れなさい、でも負けてはいけない」というのが、基本的なスタンスです。「コロナを侮らないで、克服する道を探る」ということです。これからも学校の方針はこの考えで進めます。

 毎朝、体温を測り体調管理アンケートに答える、手洗い消毒に努める、そして三密を避ける、密閉された空間、人の密集した状態、会話や話し合い等での密接を避けるということです。つまり、人と人との距離をとる、互いに接触しない、向かい合って話さない、向かい合って食事をとらない、自分の出したゴミは持ち帰る、ということです。この始業式でも、グランドという開放された場所で、互いの距離をとって行っています。卒業式や入学式の参加人数を減らすというのもそのためです。コロナが疑われる風邪症状や感染を心配する欠席は、欠席扱いをしませんが、出席欠席の判断は必ず保護者にしてもらってください。自分の都合でコロナを理由にして欠席をすることは許されません。

 

 コロナ禍にあっても、明日の入学式では、高校生445名、中学生73名が入学します。全校生徒数は昨年度より87名増えて、1584人となります。ここ数年毎年のように生徒の数が増えています。それは本校の良さを理解してくれる人が増えているということであり、生徒や教職員の日頃の教育活動が地域の皆様に評価されているということです。生徒の満足度が増し、地域の人々の期待感が膨らんでいるからだと思います。特に昨年度は、iPadを使ったオンライン授業よって、臨時休校中でも「学びを止めな」かったことが、ICT教育の先進校として評価されたということだと思います。生徒の皆さんや保護者の方々の協力なくしては進めることはできなかったことです。皆さんに感謝したいと思います。

 本年度学校の教育目標は、「一人ひとりの伎倆を高めて、自ら考え、自ら行動する力を養う」です。昨年までの「自ら考え、自ら行動する」は変わりませんが、一人ひとりの伎倆を高めようという目標を加えました。伎倆というのは言うまでもなく、本校の建学の精神である、「一に人物、二に伎倆」の伎倆です。学力や才能、体力や運動能力、技術をも含めた伎倆を高めよう、その先に人物が出来上がると、考えています。

 そして、自分の頭で考え、自分の判断で行動し、自分の意思で責任をとる、そのような人物を市邨で創り出したいと思っています。

 すでに社会は大きく変わり始めています。これまでの慣習が大きく変わろうとしています。ICTつまり情報や通信の技術が目まぐるしいスピードで進化し、これまでなかった世界が表れてきています。ビットコインなど暗号資産または仮想通貨といわれる、インターネット上の財産など、数年前までは考えられませんでした。このような変化に、追いつこうというより、この様な変化をリードする人になってもらいたい。人に言われた通りに、他人の意見で動く人ではなく、自分の頭で理解し、自分で考え、行動する人になってほしいと願っています。 

 そこで、本校が君たちに保証しなければならないのは、今の学力をベースとして、さらに学力をアップすることです。大学入試改革は確かに進んでいます。皆さんは、1月に今年から始まった大学共通テストの問題を見ましたか。解いてみましたか。この三月に全員の先生が自分の教科だけでなく他の教科の問題も解いてみて協議検討しました。確かに従来の試験よりも、言語力が求められ、論理的に推論する力が必要であると実感しました。これからの大学入試は、知識だけでなく、思考力・判断力・表現力が問われ、主体的に人と協力して学ぶことができるかどうかが問われるようになっています。知力はじめ、言語力や表現力、調整力、リーダーシップなどが見られているのです。あらかじめ作られた正解を探すような問題に向かい合うのではなく、必ずしも正解のない問題にどう解決方法を見いだすのかが問われようとしています。そのような考える力を付ける授業を実現しなければならないと考えています。学力は定期試験の点数だけで測るのではなく、日常的に測られるものですが、平常点としてノートを提出することで学力がつくと思ってはいませんか。ノートをとるのは勉強の一つの方法ですが、ノートを書くときに自分でどう考えたかが重要で、考えもせず人のノートを丸写しにして点数を稼ぐことではなんの力もつきません。

 「自ら考え、自ら行動する」というのは、学び方という視点から見れば、主体的に勉強するということです。主体的な学習のためのツールとして君たちは一人一台のiPadを使うことができます。全ての授業でiPadを使って下さい。文房具ですから、先生の指示で使う使わないということでなく、常に自らiPadを活用して自らの学びに利用して下さい。

 ただ、それは学習に対する自らの責任を果たすということと引き替えです。授業中にアニメを見るとか、授業に関係のないチャットをするなどの授業風景が見られますが、それは自らをおとしめる行為です。去年の臨時休校の時、先生に管理されていないのを幸い、全く勉強しなかった生徒がいます。もちろん学力は地に落ちます。にもかかわらず勉強が出来なかったのは、学校がなかったせいだと言ってしまうのは、自らの責任の放棄です。自らの未来が見えない子どもと同じです。目の前に崖っぷちがあるのに見ようとしないのは、愚かです。主体的に生きるというのは、自ら責任をとるということで、それが出来る者のみが自分としてかけがえのない将来を手にすることができるのです。部活動で強いチームは、コーチに指示されなくても、自分でやるべきことを知り、やるべきことが出来るチームです。全ての指示をコーチから受けなければならないようでは、次のレベルに上ることは出来ません。

 本校は、伝統を受け継ぎながら、チャレンジする学校として、教育改革を進めてきました。市邨芳樹先生は、100年前生徒たちに向かって、「起てよ、憤りを発せよ。有用の人たれ。活舞台に於いて活躍する活人物たれ。世界は我が市場ならずや。」と言って、世界に出ていこうと呼びかけました。100年も前にすでに、学生の勉学は試験のためにするのではない、智を磨き徳を納めるために楽しんでするのだと教えられました。このコロナウィルスに苦しめられている現代にあっても、本校は同じことを目指しています。創立115年目となる今年度も、自ら考え、自ら行動することによって確かな学力を育んでいくことを目指したいと思います。

 

 最後に、お願いです。コロナウィルス感染症が終息するまで、感染防止の手を抜かないでください。医療に従事する人たちに敬意を払い、感謝の念を持ってください。もし感染者が出ても、濃厚接触者が出ても科学的、医学的な根拠の下に対応して、自分の気持ちをコントロールしてください。偏見や差別感を持つことは最悪です。いじめによってウィルスでなく人が人を殺すことになります。歴史的パンデミックでも差部意識がなかったら、もっと簡単に感染症を封じ込めることができたでしょう。それこそが、人類が歴史から学ばなければならない最大の教訓です。「人間の尊厳」を建学の精神とする市邨が最も大切にしなければならないことです。

 令和3年度が、ウィルスに負けないで、一人ひとりの伎倆を高める充実した年になるよう願います。

この記事の筆者
校長 澁谷有人
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令和3年度 入学式2021年4月7日
松野先生 中日新聞に掲載2021年4月6日
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