中学校教員対象 理科研修を実施

3月29日(月)、クルックス管をテーマに中学校の先生方を迎えて「中学で使える高校理科の技術」講座を行いました。

研修のはじめに、『はく検電器の「はく」を閉じるもの』と題して本校・科学研究部の生徒が発表を行いました。

はく検電器の「はく」が閉じるメカニズムを解説し、実験のデモを行い、参加者の先生方に体験していただきました。

はく検電器正負それぞれに荷電させた2つの「はく」検電器の、その真ん中でライターの火をつけると、2つともだんだん「はく」が閉じていきます。参加された先生方はとても驚かれていました。次にクルックス管の電源として使う誘導コイルからのコロナ放電で「はく」を閉じさせました。放電極の正負により、正負どちらかのはく検電器だけ閉じていきます。

また、距離により閉じる速さが違ったり、ウチワで仰いでも変わったりという現象を確認しました。

箔検電器
ライターの火をつける
コロナ放電の様子

次は名古屋大学名誉教授森千鶴夫先生による『箔検電器によるクルックス管からの漏洩X線の測定および箔検電器のその他の応用』です。

「はかるくん」等の放射線測定器は、クルックス管からのX線を正確に測定できません。しかし森先生は、ありふれた実験器具である、はく検電器で測定する方法を考案されました。「はくが閉じる時間」で見積もるのです。その誤差を減らすために、誘導コイルとの位置関係や風を考慮することが重要なことを生徒が解説したのです。森先生は、参加者が自ら測定できるようにアクリル板や目盛り用紙をおみやげに用意してくれました。

森千鶴夫先生
X線測定セット
測定風景
電離箱の値と比較中

次は本校の大津浩一先生『KINDminiとWEBカメラによる測定・観察』です。

まず、KINDminiでの測定です。クルックス管の周囲の、生徒が観察するであろう場所でのX線の線量率を測定して、生徒が安全であることを確認しました。次に、WEBカメラでクルックス管からのX線光子を直接映像に撮り、ガラスの遮蔽能力の高さと、アクリル板の遮蔽能力のなさを確認しました。差をはっきりさせるために、画像を足し合わせることもできます。また、犬用の骨を使い、遮蔽の程度を確認して、X線撮影の原理を確認しました。

本校の大津先生
線量率測定
17秒分

最後に大阪府立大学准教授秋吉優史先生『中学教育現場に於けるクルックス管の放射線安全管理と発展的学習』です。

クルックス管は令和3年度完全実施の新学習指導要領で中学2年で必須になりました。漏洩X線と呼びますが歴史的にはクルックス管はX線の発見につながったもので、出るのが当然です。ただ、学校で使われているタイプはごく一部ながらリスクが無視できないものがあることがわかってきて、安全管理が重要だというお話から始まりました。見かけは同じガラス板とアクリル板ですが、アクリルでは遮蔽できないことをガイガーカウンターを使い耳で納得です。また、下の写真でははっきりしませんが、クルックス管に電圧をかけると即座にX線が出ることをペルチェ式の霧箱で観察し、目で納得です。

秋吉優史先生
ガイガーカウンター
ペルチェ式霧箱

研修後、参加者の皆様方にはTeams で感想を送信していただきました。コロナ禍のなかでの開催でしたが、満足しておかえりいただけたようで幸いです。送信内容には講師の先生への質問もあり、講師の先生からの回答がありと、とても前向きで充実した講座となりました。中学校・高校とも協力して理科教育を良くしていけると信じています。

参加された中学校の先生方、ならびに講師としてお越しいただいた森先生、秋吉先生、本当にありがとうございました!

この記事の筆者
理科
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