東京大学犬山演習林「長期生態系プロット調査」

東京大学犬山演習林「長期生態系プロット調査」に参加しています。

3月23日(土)と4月20日(土)の両日、愛知県犬山市塔野地大畔地区に広がる東京大学犬山演習林へ出かけました。この演習林は東京大学大学院農学生命科学研究科の附属施設『生態水文学研究所』に所属しています。生態水文学研究所は、森と水と人をテーマにした教育研究に取り組まれています。近年では、90年以上継続してきた河川流量の長期観測データや20年前からはじめた森林の構造や成長をモニタリングする長期成長プロット調査データ等を活用し、“森林地域を対象とした生態水文学の教育と研究”を行っています。

今回、本校(科学研究部・ワンダーフォーゲル部・2年特進コース)と一宮南高校(自然科学部)、尾北高校、一宮高校の4校合同チームで参加しました。今年からこの「長期生態系プロット」を利用して、様々なデータを蓄積していく予定です。

3月23日の午前中は、東大の先生方の指導のもと、演習林内に作られている方形区(コドラード)に生育する樹木の胸高直径の測定を行いました。この研究林を含む尾張丘陵一帯は、数100年以上前から続く焼き物を作るための燃料として木々が伐採されていたために、大正時代には完全なはげ山だったそうです。その当時の写真も見せていただきました。また、土砂流出を防ぐ取組みについて説明を受けました。午後は、屋内で今回測定したデータ処理と、過去のデータと比較しました。これまでどのように森林が変化してきたかを考えたり、今後どのように変化するかを検討しました。

4月20日は、前回調査した樹木にタグ(目印)をつけました。今後数十年後の調査でも木々を特定できるようにステンレス製のプレートをつけました。方形区内の樹木を長期にわたって観察する準備が整いました。

同定(名前を特定)した樹木に目印となるステンレス製のプレートをつけます。長期にわたって観察できる環境が整いました。

その後は、演習林内に群生しているヒメカンアオイを観察し、ヒメカンアオイを食草にしているギフチョウの話を聞かせていただきました。例年ではこの時期にはギフチョウが演習林内を飛び交い、ヒメカンアオイの葉の裏に産卵するそうです(葉を裏返してみるとギフチョウの卵が観察されるそうです)。あいにく、私たちが観察している時間にはギフチョウは見られませんでしたが、東大演習林利用者協議会の皆さんが撮影した写真を見せていただきました。春の代表種のスミレ属として、スミレ、タチツボスミレ、マキノスミレ、フモトスミレ、ヒメスミレを観察できました。

ヒメカンアオイ(ギフチョウの幼虫が餌として食べます)

午後からは、演習林近くのため池に移動して、プランクトンネットを使ってため池の微生物の採取をしました。プランクトンネットは初めて使いましたが、一宮南高等学校の先生に教わったおかげで上手に微生物(ボルボックス・ケンミジンコ・ミジンコ・カゲロウ類を肉眼で観察できました)を採取することができました。詳しくは、来週の授業後に調べたいと思います。

プランクトンネットをため池の上層部をすくい取るように動かします。上層部には光合成を盛んにしているボルボックスを採取できました。
顕微鏡で観察したボルボックス。葉緑体が見られます。

 

この記事の筆者
ワンゲル
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