Science Camp 2019 winter(市邨サイエンスキャンプ 伊豆大島)

Ichimura Science Camp 2019 in winter

今年も冬季サイエンスキャンプ として伊豆大島に出かけました。今年は12名(希望者:中学生3名・高校生9名)の生徒が参加しました。

1日目(2019.12.25)

名古屋駅に朝6時25分集合です。皆んな元気に集合しました。

早朝の名古屋駅に誰1人と遅れることなく集合時間前に集まることができました。6時46分発の新幹線に乗り込みました。熱海港を9時10分に出発する高速ジェット船に乗り、10時ごろに伊豆大島に上陸しました。

高速ジェット船です。熱海港から大島まで約45分です。

天気は快晴、早速三原山への調査へ出かけました。三原山は今から33年前の11月に大噴火をし、その時に流れ出た溶岩が草原を焼き尽くしました。その後、溶岩が風化したり、コケや植物の種が運び込まれるなどして、草原が再生を始めています。いろいろな植物が溶岩流の上に現れ始めていますが、溶岩流で焼き尽くされず草原が残っている場所(1986年噴火以前の噴火で焼き尽くされた場所)とどのような違いがあるかを調べています。

三原山を望む外輪山で記念撮影

外輪山(御神火茶屋)から三原山をバックに記念撮影です。山肌の黒いすじは33年前に流れ出た溶岩です。いまだに植物が生えないでいる光景が見られます。数千度で熱せられた溶岩のため、植物本体だけでなく土壌中の種子(埋土種子)も焼き尽くされました。ここから草原や森林に変化するまでを植生遷移と言い、周期的に噴火を繰り返している伊豆大島は植生遷移を学習するには最適な教材です。さらに、今回は植生遷移の観察だけでなく、植生の違いの原因を探ります。

三原山をバックに記念撮影。山肌の黒いすじが1986年噴火で流れ出した溶岩流です。
山肌に見える黒いすじが30年前の溶岩流です。今でも植物が生えていない様子が見られます。

溶岩流の先端部まできました。遠くから観察した時は何も植物が生えていないようでしたが、実際に溶岩流の上に登るといくつかの植物を見ることができました。溶岩の表面には緑色のコケが育ち始めている場所があります。また、ハチジョウイタドリがパッチ状に溶岩流状に点在し、その根本は自身の落とした葉から変化し始めている土壌ができ始めているところが観察できました。少しずつ土壌が作られ、それに伴って植物が大きく育つと同時に、別の種類の植物が進入できる条件を作り出していることがわかりました。

溶岩流の上に生えている植物を観察します。溶岩の風化を実感します。
溶岩流に生え始めた先駆植物(パイオニア植物)の生えている土壌を調べます。
1日目の調査を無事に終えることができました。このあと、大島温泉ホテルの温泉に入浴し冷えた体を温めました。

夕食はサイエンスキャンプ 恒例の自炊です。スーパーで地元の食材を購入し協力して食事を作りました。今日は鍋料理となりました。料理を食べながら参加者交流の時間としての自己紹介タイムです。始めてて顔を合わせたこともあり有意義な時間となりました。全員の顔と名前を必死で覚えました。食後は冬の星座観察です。iPadのアプリを使って星座名や星の名前を見ながら実際の星空と見比べます。プラネタリウムで見られるような星空が目の前にあり非常に感動しました。冬の代表星座「オリオン座」「おうし座」や「すばる(プレアデス星団)」がきれいに見られました。望遠鏡ではオリオン座の馬頭星雲も見ることができました。名古屋では見られない星空を見られました。

食事は自炊です。力を合わせて作ります。野菜と豚肉がいっぱい入った鍋料理(あごだし鍋とキムチ鍋)になりました。
地平線近くにオリオン座が見られます。三つ星を天頂に向かって見上げるとおうし座のアルデバラン、さらにその上にすばる(プレアデス星団)が見られます。
冬の大三角(ベテルギウス・シリウス・プロキオン)

2日目(2019.12.26)

昨日の快晴から一転して雲が多い日となりました。天気予報では午後に雨が降るということなので調査は3日目に延期し、午前中は日本の地形図に唯一「砂漠」と表記される裏砂漠を歩き、午後は島内を巡って伊豆大島の歴史に触れることにしました。

三原山の南東側の斜面には植物がほとんど生えていない場所「裏砂漠」という荒原があります。
雄大な景色をバックにジャンプ
午前中は時折日差しがありました。午後の部分日食も見られることが期待されました。
泉津の「切り通し」巨木の根が露出している珍しい場所です。
伊豆大島の南西部の道路沿いに巨大な地層断面が見られます。
この地層は約1万5千年前からの火山灰が地表面に層状に積もったものです。伊豆大島が過去に何回の噴火を繰り返したかを知る手がかりになります。
伊豆大島の南部にある波浮港を高台から見下ろす。
9世紀ごろに起きた噴火でできた火口を利用しています。水深は約400mでとても深い。

3日目(2019.12.27)

 最終日、朝から快晴になり、昨日延期した調査を中心に活動しました。1日目の調査区域で10m×10mの方形区を3つ作り、その内側にどのような植物がどれくらい生えているかを調査します。国立公園内であるため植物を持ち帰ることができないため、普段授業で使っているiPadを活用します。方形区内の植物を撮影し名古屋に戻ってから同定することにしました。

方形区を作って植生を調べます。
1986年噴火の溶岩流にはコケが生えています。所々にススキが点在しています。
1986年噴火で流れ出た溶岩流には植物が生えていない様子がよくわかります。その周辺は1986年噴火以前の噴火で焼き尽くされた土地に植物が生え荒原から草原に変わりつつあります。
ススキの草原内に陽生植物が点在するようになってきています。
再び三原山山頂へ。1986年噴火の火口を観察します。約200mの深さがありますが、噴火があったときはここまでマグマがあったそうです。
山頂にある有名な溶岩。映画「ゴジラ」によく似ている。映画「ゴジラ」では、ゴジラは三原山で命が絶えたそうです。伊豆大島のお土産にもゴジラは登場します。

 15時30分の高速ジェット船に乗り、伊豆大島を離れました。16時15分ごろに熱海港に到着し、17時14分発の新幹線(こだま)に乗って名古屋に向かいました。3日間のサイエンスキャンプ で得た経験(科学の見方・考え方)を今後の学校生活でも十分に生かしていきたいと思います。また、このサイエンスキャンプ に参加することに賛同してくれた保護者のみなさまに感謝いたします。ありがとうございました。

冬季サイエンスキャンプ実施要綱_最終

この記事の筆者
ワンゲル
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